北米の安全規格
米国連邦政府は、国としての安全認証制度は制定していません。そのため、国として強制力のある製品安全認証制度は存在しません。しかしながら商取引上、安全検査機関の認証ラベルを要求する場合が多く、事実上必須といえます。
ANSI規格(American National Standards Institute)
ANSIは1918年に設立された非営利組織で、米国における標準化機構です。
ANSIでは原則的に規格は作成せず、専門分野の団体や関連する委員会などによって作成された規格を、ANSI規格として承認する方式を採用しています。
例えば、EIA(米国の電子工業会)、TIA(米国の電気通信工業会)などの規格作成団体が仕様を作成したものを承認し、ANSI規格として採用しています。
また、UL規格にも取り入れられ、ANSI/UL規格として採用されているものが多くあります。
ANSIは米国の国内規格ですが、ANSI規格が他の規格に先立って決まり、その後ISO規格に採用されることも多く、ASCIIの文字コード規格(X.34)がISO 646になった例などがあります。
また、ANSIには安全警告や取扱説明書の標準規格をまとめたZ535シリーズがあり、物損のみのリスクのシグナルワードを“NOTICE”として区別するなど、米国独自の考え方を反映しています。
「IEC 82079-1」には、「ANSI Z535.6:2011」の安全表記の要求が取り入れられています。「ANSI B11.1」はISO 12100と同等の、機械安全の基本安全設計の規格です。この規格には「IEC 62079」が参照されており、これによって「IEC 82079-1」が参照規格となります。
UL規格(Underwriters Laboratories Inc.)
1894年に火災保険業組合によって設立された非営利試験機関です。
米国で最も著名なNRTL※であり、あらゆる電気製品の認証試験を実施しています。また、規格に適合した機器の証明書の発行も行っています。
UL認証制度は基本的に任意であるにもかかわらず、多くの米国製電気製品はUL認証を取得しています。
これは、米国で作成されたUL規格が、安全の最高権威として社会的に信頼されており、各州や市でも条例で安全規格として認められているからです。
※ 米国国家認証試験機関(Nationally Recognized Testing Laboratory)の略。
OSHAの認定を受け、連邦規格に基づいてさまざまな製品の安全試験・認証を行うことが認められた民間の第三者認証機関です。UL、CSAを含めた15の試験機関が認定されています。
UL規格の認証制度には、Listing認証とRecognition認証があります。
Listing認証は一般的に最終製品に対する認証で、Recognition認証は製品に組み込まれる部品に対する認証です。
また、米国とカナダはMRA(Mutual Recognition Agreement)を締結しているため、相互認証が可能となっています。UL規格において、カナダの規格(CSA規格)に基づいて認証された場合、製品に対する認証マークはCSA規格の適合を意味するC-UL認証マークとなります。
UL規格による認証を取得した後は、量産工場への立ち入り検査が年4回実施されます。
この検査は、常にUL規格に適合している製品を製造しているかどうかを確認することを目的としています。
検査官が不適合品を発見した場合、UL認証マークを表示した製品の出荷が禁止されることがあります。
なお、ULでは新たなUL認証マークのサービスを開始しました。下記の左側のマークは製品に、右側のマーク(バッジ)は梱包などに貼り付け、販売時に消費者がUL認定品であることを識別できるようにするものです。
労働安全衛生局(OSHA:Occupational Safety and Health Administration)
労働安全衛生局(OSHA)によって認定されNRTLが認証した機械類を使用することが要求されています。
フィールドラベリング(米国における地域認定制度)
フィールドラベリングは、米国内の工場で使用される装置が、その地域の安全要求事項に合致しているかどうか、実際に最終設置場所で検査を行う制度です。現地の工場に機械を設置する際、認定されたNRTLによって装置の審査が実施され、合格した場合はNRTLによって適合ラベルが貼り付けられます。
また、フィールドラベリング審査は、電気設計の安全性を米国規格(NFPA※、ULなど)に基づいて行われます。このうち、産業機械用電気規格については「NFPA79」が適応され、2014年5月に改訂され「NFPA79-2015」版として施行されています。
※ 全米防火協会(National Fire Protection Association)の略です。
消費者製品安全委員会(CPSC: Consumer Product Safety Commission)
消費者製品安全委員会は、消費者安全法(Consumer Product Safety Act)に基づいて制定された、法的権限を持つ独立政府機関です。家庭用消費財の安全基準や規格の策定、リコールや回収の勧告を行っています。
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