マニュアルの国際規格
マニュアルに関連する国際規格の例
マニュアルや警告ラベルを含む「使用情報(使用説明)」は、さまざまな国際規格に準拠する必要があります。
- IEC/IEEE 82079-1:2019 製品の使用情報(使用説明)の作成-第1部 (2019年5月改訂)
- ISO 20607:2019 機械類の安全性-取扱説明書-起草のための一般原則 (2019年6月発行)
- ISO 12100:2010 機械類の安全性-設計の一般原則-リスクアセスメント及びリスク低減
- 機械指令 2006/42/EC
- 低電圧指令 2014/35/EU
- EMC指令 2014/30/E
- ANSI Z535シリーズ
- GB/T 5296.1-2012 中華人民共和国国家標準 消費生活製品の使用説明 第1部
- SEMI S2-0818Ea 半導体製造装置の環境,健康,安全に関するガイドライン (2018年8月改訂)
- SEMI S13-0113 製造装置と共に使用することが意図された装置ユーザへの提供文書のための環境,健康,安全ガイドライン
マニュアルの国際規格『IEC/IEEE 82079-1:2019』
『IEC/IEEE 82079-1:2019 製品の使用情報(使用説明)の作成-第1部』は、マニュアルや警告ラベルを含む「使用情報(使用説明)」の国際規格です。 2019年5月に『IEC 82079-1:2012』が改訂され『IEC/IEEE 82079-1:2019』となり、ISOとIEC、IEEEの規格としてトリプルロゴが付けられています。
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『IEC/IEEE 82079-1:2019』の要求事項には、以下のようなものがあります。
- 使用情報(使用説明)の国際規格
WTO/TBT協定加盟国が遵守すべき国際規格として制定されています。 - 対象となる使用情報(使用説明)
取扱説明書をはじめ、製品本体もしくは包装へのラベリング、組み込みマニュアル、警告ラベル、カタログ、Webサイトなど、あらゆる使用情報(使用説明)が対象となります。 - 残留リスクを反映した使用情報(使用説明)
ハザードの分析によるリスクの取り扱いについて、対象製品の運用者および使用者への情報提供が要求されています。 - 対象者の特定
各操作の対象者(オペレーター、メンテナーなど)を明記し、対象者を特定した説明が必要とされています。 - 製品ライフサイクルに応じた情報の提供
輸送から組み立て~廃棄まで、製品ライフサイクルのさまざまなシチュエーションへの対応を求めています。 - 警告表示による安全対応
危険(DANGER)、警告(WARNING)、注意(CAUTION)のシグナルワードの使用が推奨されており、包装および製品やマニュアルへの安全表記を求めています。さらに、『IEC/IEEE 82079-1:2019』では、ANSI Z535シリーズや、SEMI安全ガイドラインで定義されている財産の毀損のシグナルワードである告知(NOTICE)などの使用が推奨されています。 - 使用情報(使用説明)の現地語化
輸出先の現地語への翻訳が求められています。 - 視認性、可読性及び分かりやすさの追求
使用説明に大きな影響を及ぼすフォントのポイントや記号の大きさなどの、可読性が求められています。 - 規格要求事項の達成評価
対象となる使用情報(使用説明)が、『IEC/IEEE 82079-1:2019』の要求事項を達成しているかを評価する方法が提供されています。
『IEC 82079-1:2012』と『IEC/IEEE 82079-1:2019』には、以下の相違点があります。
IEC 82079-1:2012 使用説明の作成-構成、内容及び表示方法 |
IEC/IEEE 82079-1:2019 製品の使用情報(使用説明)の作成 |
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塗料用ブリキ缶から、大型産業機械、ターンキーベースのプラント又は建造物などが対象 |
工業製品、消費財、医療機器・装置及びシステム、複雑なシステムオブシステムズ、輸送手段、応用ソフトウェア、システムの運用及び自動制御のためのソフトウェア、技術サービスを含む製品・サービスが対象 |
コンテンツへの要求が中心 | コンテンツの要求以外に、リスク管理、情報の種類、専門的力量など |
附属書Bと附属書Cにチェックリストがある | チェックリストは廃止 |
シグナルワードは人災のみ言及、物損については触れていない | 財産の毀損に関するシグナルワードについて「NOTICE」、「ATTENTION」、「TAKE CARE」を推奨 |
IECとISOのデュアルロゴ | IECとISO、IEEEのトリプルロゴ |
よくわかる︕『IEC/IEEE 82079-1:2019』Q&A
機械類のマニュアルの国際安全規格『ISO 20607:2019』
『ISO 20607:2019 機械類の安全性-取扱説明書-起草のための一般原則』は、機械類のマニュアルの国際安全規格として、2019年6月に発行されました。 『ISO 12100:2010』の「6.4 使用上の情報」をベースとして、特に取扱説明書で求められる内容を追加して作成された規格であり、EU機械指令の整合規格です。
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『ISO 20607:2019』の要求事項には、以下のようなものがあります。
- 機械類のマニュアルの国際安全規格
WTO/TBT協定加盟国が順守すべき国際規格として制定されています。 また、『ISO 12100:2010と同様に機械類を対象とし、安全に焦点を当てた国際安全規格です。 - 対象となる取扱説明書
『IEC/IEEE 82079-1:2019』とは異なり、機械類に添付される取扱説明書が対象です。 特に安全に関する部分を主な対象としており、本体表示や警告ラベルなどは対象外です。 安全に関する部分だけでなく、説明書全体の構成や、読みやすい文章表現にも言及されています。 - 残留リスクを反映した取扱説明書
ハザードの分析によるリスクの取り扱いについて、対象となる機械類の納入先や作業者への情報提供が要求されています。 - 対象者の特定
各作業の対象者(設置業者、オペレーター、メンテナーなど)を明記し、対象者を特定した説明が必要とされています。 - 製品ライフサイクルに応じた情報の提供
輸送から組み立て~廃棄まで、製品ライフサイクルのさまざまなシチュエーションへの対応を求めています。 - 警告表示による安全対応
危険(DANGER)、警告(WARNING)、注意(CAUTION)のシグナルワードの使用が推奨されており、取扱説明書への安全表記を求めています。 『IEC/IEEE 82079-1:2019』で使用を推奨されている財産の毀損のシグナルワードについては言及されていません。 - 視認性、可読性及び分かりやすさの追求
『IEC/IEEE 82079-1:2019』を参照しており、フォントのポイントや記号の大きさなどの、可読性が求められています。 - ITセキュリティの脆弱性について
対象の機械類が該当する場合、ITセキュリティーに関する脆弱性について、取扱説明書で情報を提供することが求められています。
『IEC/IEEE 82079-1:2019』と『ISO 20607:2019』には、以下の相違点があります。
IEC/IEEE 82079-1:2019 製品の使用情報(使用説明)の作成 |
ISO 20607:2019 機械類の安全性-取扱説明書-起草のための一般原則 |
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工業製品、消費財、医療機器・装置及びシステム、複雑なシステムオブシステムズ、輸送手段、応用ソフトウェア、システムの運用及び自動制御のためのソフトウェア、技術サービスを含む製品・サービスが対象 | ISO 12100と同様に「機械類(半完成品を含む)」が対象 |
コンテンツの要求以外に、リスク管理、情報の種類、専門的力量など | 基本的にはコンテンツの要求のみ |
財産の毀損に関するシグナルワードについて「NOTICE」、「ATTENTION」、「TAKE CARE」を推奨 | 財産の毀損に関するシグナルワードについては言及されていない (『ISO 3964-2』に同調) |
IECとISO、IEEEのトリプルロゴ | ISOロゴのみ |
規格要求事項の達成評価について言及 | 規格要求事項の達成評価については、言及されていない |
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